ブログで記事を書いて情報発信するにはまず、ブログを用意する必要があります。
ブログを用意するにはいくつかの方法があるのですが、中でも無料のブログサービスは簡単な設定ではじめることができ初心者には人気のサービスです。
最初は無料のブログサービスで満足していても、人とは違ったデザインにしたくなったり、もっとしっかりSEO施策を行いたいと思うようになります。
無料ブログでは細かな要望には対応しきれず、物足りなくなることがあります。
そんなときにおすすめなのがワードプレスを使った無料ブログからの引越しです。
今回は無料ブログの中でも特に利用者が多く人気サービスのはてなブログからの引越方法を解説します。
はてなブログからWordPressに移行するメリット・デメリット
人気のブログサービスである「はてなブログ」は無料で使えるだけでなく、アフィエイトの制限がないことや最低限のSEO対策をはてなブログ全体で行っていることもあり、長く使い続けている人も多いでしょう。
しかし、Webサイトを継続して運営するのであれば、WordPressに移行して運営する方が多くのメリットがあります。
メリットとしては次のような点が挙げられます。
- より自由度が高く簡単にデザインできる
- SEO対策による効果がより得られる
- サービスの運営方針に影響されない
では、それぞれの内容について、詳しく見ていきましょう。
サイトのデザインがしやすい
はてなブログでもデザインは変更することができますが、HTMLやCSSに関する知識が必要不可欠です。
HTMLやCSSに慣れていないと、数少ない決まったパターンでデザインを編集する必要があります。
他のはてなブログを利用しているユーザーとデザイン面での差異化を図ることは簡単ではありません。
対して、WordPressであれば、テーマ内のカスタマイズ機能が充実しているために、元々ある機能のみで十分にデザインを変えることができます。
記事投稿においても、文字装飾パターンも多くあり、ボタン一つで挿入できます。
SEO対策をより効果的にできる
SEO対策について、はてなブログ全体である程度の対策をしてくれてはいますが、逆に言えば「運営元に依存したSEO対策」と言えます。
はてなブログ無料版では「https:〇〇〇.hatenablog.com」のようにサービスのサブドメインを利用しています。
SEO的には強いとされているものの、サービス大元のドメインがアルゴリズムの影響を受けると、利用しているサブドメインのページにも検索順位の下落が及ぶ可能性があります。
有料版である「はてなブログPro」なら独自ドメインも利用できますが、ブログの内部構造に関しては運営が機能をアップデートするまで、ユーザー側でも何もできずにただ待つしかありません。
そのため、同様に独自ドメインを使用するのであれば、自身でWebサイトを運営した方が良いと考えられます。
そして、WordPressにはデザインの自由度も高く、SEO対策もされている「有料テーマ」というものが多くあり、もしその他に必要な事柄があったとしても、自らのタイミングですぐに対処できます。
サービスが突然終了する心配がない
ブログサービスは企業が運営しているものであるため、事業として厳しくなったり、ユーザーが離れたりしてしまうと、サービスが終了してしまう可能性は0ではありません。
いつ終わるのかはもちろん定かではありませんが、もし終了が決まった場合には別のブログサービスへの移行か、自身でサイトを作るかの対応が必要になります。
別のブログサービス間の移行となると、公開していた記事のデータを移し替えるだけでも済む場合がありますが、移行先のサービスでインポート機能が無ければ、すべて手作業で移すことになります。
WordPressに移行するにしても、ブログサービスが終了決定したタイミングでいきなりWordPressに触れることとなり、サービスが完全閉鎖するまでの期間内にすべての移行作業を行わなければいけません。
サイトの移行を代行してくれるサービスもありますが、この場合は費用がかかることになります。
本格的なサイト運営を行うのであれば、サービスが終了する可能性がある以上、ブログサービスを使い続けていくことには少しリスクがあります。
はてなブログからワードプレスに移行するデメリット
WordPressに移行するデメリットとしては、最初の移行にコストがかかります。
具体的には、サーバー費用・ドメイン購入費・必要であればWordPressの有料テーマの購入コストなどです。
サーバー費用は毎月または年払いで支払うことができますし、ドメインは1年に1回の更新になります。
WordPressの有料テーマはそれぞれ価格が違いますが、買い切り型が多いです。
しかし、ブログサービスの有料プランでも月額1,000円ほどの費用がかかるので、それであれば長い目でみると自身でサイトを作成・運営する費用と大きく変わらないため、デメリットにはならないかもしれません。
移行のタイミングはいつが良い?
はてなブログからWordPressへの移行タイミングについてですが、いつでも移行することは可能です。
ただし、記事数が少ないうちに移行した方が良いでしょう。
その理由として、まず自力で移行をする場合、記事数が増えるほど作業量が増え、時間的なデメリットが大きくなってきます。
記事のテキストデータ自体は、はてなブログからデータを抽出して、WordPress上で取り込むだけで完了することができます。
しかし、その後にWordPressのテーマに合わせた装飾、画像の挿入や時にはリサイズも必要になることもあり、それらはすべて手作業で行うことになります。
記事をひとつずつ確認し、その都度修正をしていくことになるので、膨大な作業時間がかかってしまいます。
そして、サイト移行を業者やクラウドソーシングで代行してもらう場合、別途代行費用がかかります。
ページ数にもよりますが、外部ブログサービスからWordPressへの移行だと、大体3~5万円ほどの費用が発生します。
また、SEOの観点においても同様に、タイミングは早い方が良いと考えられます。
はてなブログからWordPressに移転した場合はリダイレクト設定を行って、サイトの評価を受け継がせるようにしなければなりません。
リダイレクト設定に漏れがあると、移行時にはこれまで検索順位の高かったページの検索順位は一気に低下してしまいます。
ページ数が多いとこのようなミスが起こる可能性も考えられます。
また、はてなブログの無料版ではJavaScriptによる設定や「カノニカル(Canonical)」というHTMLタグの書き換えも必要となり、初心者の場合は難しく感じるかもしれません。
以上のことから、早めのタイミングであれば、自力での作業でもそこまで時間もかかることはなく、移行代行を依頼する必要もなくなります。
SEO上でもミスを減らしたり、万が一リダイレクトできない場合でもリセットして問題ない規模のブログであれば、折り合いもつけられるでしょう。
もしWordPressへの移行を考えている場合、なるべく早めに移行することをおすすめします。
はてなブログからの移行手順
それでは、実際にはてなブログからWprdPressに移行する際の手順について、簡単に解説していきます。
手順としてはそこまで複雑なものではありませんが、移行後に注意するべきポイントがあることは知っておきましょう。
移行の注意点については、手順の後に解説しますので、そちらを参考にしてください。
移転先の環境(サーバー・ドメイン・WordPress)を準備する
基本的なことですが、まず移転のためのレンタルサーバーの契約や環境を用意しておきましょう。
サーバーについては、移転する画像データやページ数によって必要なディスク容量が変わってきますが、10~30GBほどあれば問題はないと思われます。
なお、レンタルサーバーの中には「移転代行オプション」という有料オプションがあるサービスも存在します。
しかし、多くのサービスが「WordPressで作成されたサイト間でのサーバー移転」なので、レンタルサーバーを選ぶ際にあまり気にしなくても良いでしょう。
ドメインについてはドメイン取得サービスから、必要なものを購入します。
もし、はてなブログ有料版で独自ドメインを使用していた場合はドメインをそのまま使うことが可能です。
最後に、WordPressは公式サイトからダウンロードしたファイル一式を、サーバー内にアップロードしておきます。
レンタルサーバーのサービスとして「WordPress簡単インストール機能」があると、契約時もしくは初期環境設定時に自動でインストールまでしてくれるので、この機能があるレンタルサーバーを利用することをおすすめします。
はてなブログから記事をエクスポートする
次は、はてなブログで公開していた記事のデータをエクスポート(取り出し)しておきます。
まず、はてなブログにログインして、マイページに行きます。
そして、下記画像上部にある「A」と書かれた赤枠に囲まれた箇所に自分のアカウントが表示されていると思いますが、そちらをクリックし、出てきたメニューのうちから「設定」を続けてクリックしてください。
すると、画面中央部に設定に関するメニューが出てきますので、さらにその中から「詳細設定」を選んで画面を切り替えましょう。
内容が詳細設定の各種項目になりますが、下にスクロールしていって、「高度な設定」の項目まで移動します。
「高度な設定」の中には、画像の通り「エクスポート」の操作内容があり、そこに「記事のバックアップと製本サービス」というリンクがありますので、そちらをクリックしてください。
エクスポートの操作画面に変わりますので、下記画像のように「ダウンロードする」のボタンをクリックすると、テキストファイルの形式でダウンロードが開始されます。
もし、一度ダウンロードした後に記事を追加・変更した場合にはエクスポートデータを更新しないと、古い状態のままになっていますので、その場合は「エクスポートしなおす」のボタンをクリックしてから再度ダウンロードしてください。
はてなブログ側で行わなければいけない操作は以上になります。
なお、無料版・有料版どちらでもエクスポート機能が使えますので、無料版を使用しているからエクスポートできないということはありません。
WordPressに記事をインポートする
移行作業の最後として、はてなブログから取り出した記事データをWordPressにインポート(入れ込み)します。
ログインすると、画面左側にメニューバーが表示されていますが、そこから「ツール」を選択し、ツール内メニューの「インポート」を続けてクリックします。
すると、インポートに関するさまざまなメニューが出てきます。
はてなブログからエクスポートされたデータは「MT(Movable Type)」という、WordPressとは別のソフトで使用できるファイルになっていますが、インポートには問題ありません。
インポートのメニュー内に「Movable TypeとTypepad」の項目下部にある「今すぐインストールする」のリンクをクリックしてください。
インポートに必要な機能が自動的にインストールされ、完了すると先ほどのリンクが「インポーターの実行」に変わりますので、こちらを実行してください。
そして、インポートするファイルのアップロード画面になります。
「ファイルを選択」と書かれたボタンをクリックすると、PC上のファイルを選択するウインドウが出てきますので、はてなブログでエクスポートしたテキストファイルを選びましょう。
ファイルをアップロードすると「ファイルをアップロードしてインポート」のボタンが操作できるようになりますので、そちらをクリックします。
最後に、インポートされる記事の執筆者を設定する画面になります。
はてなブログで投稿していたときと同じユーザー名で設定することもできますが、WordPress上で作成済みのユーザーを執筆者として割り当てることもできます。
執筆者の設定が済んだら、「実行」のボタンを押して作業は完了です。
以上がはてなブログからWordPressに移行するために必要な作業となります。
移行時に注意すべきポイント
移行作業自体はそこまで難しくないように見えますが、これは単純に「記事を移しただけ」でしかありません。
はてなブログで公開していたページの通り進めていくのであれば、修正しなければならない箇所は残っており、対応しなければ今後のサイト運営にも大きく響くものもあります。
むしろ作業自体よりも重要な点になってきますので、これからお伝えしていく内容についてはきちんと理解しておきましょう。
見出しや内部リンクの修正
はてなブログとWordPressでは一部仕様が異なっています。
例えば、はてなブログには見出しの<h2>タグがなく、記事の見出し順序が<h3>タグからとなっています。
見出しについては、タイトルの<h1>タグから大見出しの<h2>タグ、小見出しの<h3>タグからさらに小さなまとめの<h4>タグというように正しい順序で設定していかなければいけません。
<h2>タグが設定されていない以上、ページ構造としては不適切なものとして、検索エンジンからの評価が下がってしまう可能性は高いです。
ほかにも、はてなブログで設定していた内部リンクの修正も必要となります。
インポートした後に各ページのURLを変更した場合、そのページに向けた内部リンクをどこかで設置していると、エラーリンクとなってしまいます。
変更しなかったとしても、リンクが「https://hatenablog.com/xxx.html」というように、はてなブログへ行ってしまうリンクとなっている可能性もあるので、内部リンクについては一通り確認するようにしましょう。
画像パスやアイキャッチ画像の設定
画像パスというのは、画像を表示させるためにサーバー内のどこから呼び出すのかを指定するHTMLタグのことを指します。
WordPressでは、例えば「<img src=”/wp-content/upload/media/xxx.jpg”>」というように記載されています。
はてなブログからインポートすると、画像自体は表示されていますが、画像パスははてなブログのものになってしまっています。
つまり、自身で契約したサーバーからではなく、はてなブログのサーバーから呼び出す形のままでインポートされているのです。
この場合、これまで使用していたはてなブログを閉鎖すると、画像は表示されなくなってしまうので、まず使用していた画像はすべてWordPressにアップロードしなおさなければいけません。
そして、各記事の画像パスを先ほどの例のように書き換えるか、またはひとつずつ選んで挿入していく作業が必要です。
そして、はてなブログにはWordPressの「アイキャッチ」に該当する機能が存在していないため、WordPressにインポートされた各記事にも設定されていません。
設定しないままでいると、記事一覧が表示されるときに「画像無し」という状態になってしまうので、サイトの見栄えも悪くなります。
テーマに合ったサイズの画像を用意し、記事それぞれに設定していきましょう。
はてなブログからのリダイレクト設定を行う
最後に最も重要な点ですが、はてなブログで運営していたブログの評価を引き継ぐために、リダイレクトの設定を行わなければいけません。
ただ、実ははてなブログの管理画面からリダイレクトの設定を行うことはできません。
そのため、方法としては「Javascriptでリダイレクトと同様に転送させる」ことになります。
方法としては難しいと感じるかもしれませんが、下記コードをはてなブログの「ヘッダー」に貼り付ければ、自動的に転送してくれます。
<script>
<!–
var domain = “【移転先のURL】”;
var path = location.pathname;
var url = domain + path;
var link = document.getElementsByTagName(“link”)[0];
link.href = url;
setTimeout("redirect()", 3000);
function redirect(){
location.href = url;
}
–>
</script>
内容を簡単に説明すると「新しく作ったサイトが最も正しいものとして、3秒後に自動的にリダイレクトする」という処理になっています。
上記の【移転先のURL】の箇所については、新しく用意したサイトのURLに変更してください。
また、こちらのコードは、どのURLが正しいものかを示す「カノニカル(cannonical)」の設定も含んでいます。
4~5行目の記述がその内容となっており、こちらの内容が無いと、はてなブログと移転先のサイトが重複しているものとなってしまいます。
リダイレクトまでの時間を変えたいときは、「setTimeout」の箇所にある「3,000」という数値を変更します。
1秒なら1,000、5秒なら5,000と千の値の部分を変えれば、時間が変わっていきます。
そして、こちらのスクリプトを挿入したら、必ずはてなブログから新サイトへのリダイレクトが行われているかどうかを確認してください。
リダイレクトされない場合は、手間がかかりますが、各投稿ページの最上部に挿入すれば、リダイレクトできることがあります。
そして、移行から少し時間が経つと、はてなブログへの流入が減っていきます。
ほぼ流入されていない状況となったら、それは検索時に表示されるものが新サイトのURLに変わったということなので、その段階ではてなブログは閉鎖するか、すべての記事を下書きに戻すようにしましょう。
リダイレクトしているものの、まったく同じ内容の記事が重複して存在していることになりますので、公開状態にしておくのは危険です。
Googleアドセンスへの再審査
はてなブログのサブドメインを用いた状態でGoogleアドセンスを利用していた場合、移行後に改めて審査して合格する必要があります。
Googleアドセンスにおける審査はドメインに基づいて行なわれているため、ドメインが変わると別のサイトとして判断されてしまいます。
そのため、再度審査し直さなければいけませんが、審査は先ほどのリダイレクト処理を行ってからの方が良いかもしれません。
リダイレクト処理を行わずに審査を行った場合、移行後のブログが元のはてなブログに対する「重複サイト」として判断されて、不合格となってしまう可能性が考えられます。
また、移行した記事でも古い内容のものが多いと再審査で落ちてしまうこともあるので、こちらの修正も済んでから審査を行うようにしましょう。
はてなブログでも独自ドメインを使用しており、そのドメインを移行時も使い続けるのであれば、コードを使い回すことができるので、審査は必要ありません。
はてなブログからの移行はなるべく早くがおすすめ
はてなブログからWordPressの移行はそれほど難しいことではありませんが、作業漏れなどのミスを見逃してしまうとブログの評価が落ちてしまう危険性もあります。
そのため、自力で作業するよりは移行代行のプロに任せてしまった方が安心です。
初めのうちは公開したページを見に来てくれる人が本当にいるのかと不安になり、つい無料ブログからスタートしがちです。
もし、本格的にブログを運営していきたいと考えるのであれば、最初からレンタルサーバーを使って始めるのも決して間違いではありません。
ドメインは長く使い続けるほどに評価も上がり、またWordPressを使った方がブログサービスよりもデザインなどにもこだわることができます。
もし現在ブログサービスを使用しているのであれば、なるべく早めにWordPressに移行した方が手間も少なく、中長期的にはメリットも大きいということは考慮したい点です。
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